0,楠木和弘

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広大な空はどこまでも蒼くて、からっと晴れた風が磯の香りを運んでくる。 いつも思うけど海辺の学校っていいな。こういうところが素敵。 それに、ずっと広がる田園風景も嫌いじゃない。 のんびりゆっくりまったりと、緩やかな時間を満喫するのも悪くないし。 いや、むしろ俺にはこっちの方があってると思う。 都会って満員電車とか人混みとか、俺の嫌いなものばっかだったもんな。 何にそんなにも慌ててるのか知らないけど、みんな働きアリみたいに急いでたし。 忙しくないほうがいいよ。 人生は長いんだ。気楽にいこう。 押さない走らない喋らないだよ。おはし。小学校で習ったなー。 防災訓練の授業で。大方眠ってたけど。 授業って怖いよね。なんであんなにも睡魔にそそのかされるのかしら。 あ、かしらって、なんか面白い。 どんな言葉にも語尾に「かしら」ってつけるだけでコメディになるんじゃないのかしら。 下らないことばかり考えていると、五限目の始まるチャイムが鳴った。 「あ」 驚きがつい口に出る。
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