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朋先輩は「そうだね」と曖昧に笑って応えた。
楠木先輩は部活に来ないことがよくある。
それは部員としての義務を果たしていないことになるし、好き勝手にやられるとこっちが困る。
「あんなに言ったのに、あの人は何も変わらないんですね」
楠木先輩の横暴が目に余って僕が真っ向から注意したことがあった。
『先輩には責任感ってものが足りません』
それなのに彼は、まるで取り合ってくれなかった。
『はあ』
部活中、珍しく彼が作品を描きにきていた時だった。
カンバスから顔を上げずに僕の言葉を『はあ』とか『ああ』と聞いているのかが分からないような返事をしただけで、反発も悪態も何もなかった。
「決まった?」
朋先輩は既に三枚の絵を手に持っていた。
「あ、すいません。まだです」
朋先輩は気の弱そうな小さな目を僕に向けた。
「じゃあ、はやめに選んでね」
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