1,4堂島裕紀

2/7
29人が本棚に入れています
本棚に追加
/72ページ
「和弘遅くね?」 つかさは軽い声で言った。 バスケットボールを持っている右手には、しつこく聞かされた彼女のミサンガがついている。 水色と薄い緑。よく分からん色合いだ。 「あいつ今日は来ねえよ」 つかさの右手からボールを奪い取る。 バスケのときもそうだが、こいつからはすぐに取れるから楽だ。 「あっ、ちょ、せこいって」 マークも何もない。追いかけてきたつかさも動きが遅い。 フリースローだな、これじゃあ。 いつもそうだが。 打ったボールは綺麗にゴールに入った。 いつも通り。 「なんで来ないの?」 つかさは舌打ちしながら、ゴール下にボールを拾いにいく。 「今日っつうか、一ヶ月は遅くなるって」 「ああ、もうそんな時期かー」
/72ページ

最初のコメントを投稿しよう!