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「何描いてんの?」
校舎を出て駐輪場に向かう途中、朋に聞いた。
「一応、天使のつもり、だったんだけど」
朋は上目遣いで見てきた。
「やっぱりか、上手いよな」
自転車の鍵を開ける。
朋は歩きらしくついてきている。
「ありがと」
「おう」
ハンドルを握りスタンドを蹴る。
「乗ってかね?」
「だ、駄目だよ。二人乗りは」
「いいから」
俺達はぎこちなく話を続ける。
手探りで、何を話していいかも分からずに。
おう、とか自分で言っているが結構恥ずかしい。
すかしてるんじゃねえよ、俺。
俺が荷台をとんとんと叩いていると、朋は仕方がなさそうに座った。
後ろから制服を掴まれてどきどきする。
変な顔になってないだろうか。
確認できないのでかなり心配だ。
ペダルを漕ぎ出すと、自転車はゆったりと走り出した。
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