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「和弘、次は彫刻でもするのか?」
朋が小さな声で言う。
「違うと思う。彫刻は面倒だって、楠木くん言ってたから」
あいつらしい理由だ。
手間を憎み忙しきを嫌う。
ようはただの面倒くさがりなのだが。
「彫刻かなり見てたよな」
「凄いんだよ。あの中に、割れたコンクリートとかあるんだから」
「あの倉庫、そんなのまで置いてんの」
美術室の倉庫の話は聞いてたことがあるが、コンクリートまで入れていたら節操がなさすぎだろ。
「さすがに、そこまではないよ。拾ってきたって。四十センチくらいの」
拾ってきたって、犬かあいつは。
「楠木くんって、ホントによく分からないよね」
「ああ。ただボサッとしてるだけにしか見えねえのにな」
俺と朋の会話はあまり続かないのに、あいつのこととなると案外続く。
「不思議ちゃん、みたいな」
朋の言葉に俺は笑う。
「あいつにちゃんはないだろ」
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