2,片倉愛子

2/43
前へ
/72ページ
次へ
「はあ」 朝に渡された模試の結果を思い出してため息をつく。 志望まで遥かに遠いD判定。100点くらい足りてなかった。 「どうしたの愛子。かなりブルーみたいだけど」 私の正面でビスキーサンドを食べ終わってご満悦な秋穂が聞いてきた。 甘いものを食べて絶賛幸せ中な秋穂に言っても、ねえ。 「いやー、何でもない」 「悩みがあるなら聞きますよー」 いや、だからそんなひょうひょうと言われても。 「大丈夫だよ秋穂。私は一人でも生きていけるよ」 「は? いやいやアンタ絶対やばいって。私が保証する」 保証とかやめてよ。悲しいから。 「じゃあ、聞いてもらってもいい?」 言いたくはない。でも聞いてほしい。 なんかおかしい。矛盾してる。 どうしたんだろ、私。 「聞いてあげる」 机の引き出しにぞんざいに入れていた模試の結果を取り出す。
/72ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加