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「見て」
判定のところを指差して秋穂に見せる。
「うわぁ……、Dですか」
なんと形容したらいいのかが分からない、慰めようとしているような、気を遣おうとしているような、この時の秋穂の表情を私は忘れない。
「……うん」
その顔に、優しさに傷ついたのだから。
高二、春ももうすぐ終わる頃。
私は初めてDを取りました。
「まあそんなに落ち込みなさんなって」
肩を優しく叩かれるけど逆効果。
私の傷口には塩がすりこまれていく。
いっそのこと、笑ってくれればよかったのに。
そんなに傷つかないで済んだから。
現実逃避がしやすいから。
秋穂に求めていた反応がよく分からなくなった。
最初は笑われるのが嫌だったのに、今では笑われた方がよかった。
「はあ」
秋穂に聞こえないように、小さな声で濃厚なため息をついた。
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