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昼休みになり、秋穂が隣の席にきた。その手にはビニル袋に入ったメロンパンが一つだけ。
それだけでお腹は空かないのだろうか。
「まーたサボったって」
「和弘が?」
分かっていながら聞き返す。
「そ、アンタん家のダンナさんが」
「だから違うってば。誰があんな勝手なやつ」
秋穂はニヤニヤ笑いながら言った。
その意地悪い表情が小憎らしい。
「へえ、じゃあどんな男が好きなの」
「そんなの、言うわけないじゃん」
ちょっとした意趣返しに反撃してみる。
「ほらほら、お姉さんに話してみなさい」
全然効いてないみたいだけど。
「いやー、私に姉はいないっす」
「言わないと、楠木とのことについてあることないこと言いふらすぞ」
凄く迷惑な嫌がらせを思いつくな。
「サイテー」
と言いながらも渋々答える。変な噂をたてられたら困るし。
「誠実でー、私のことが好きな人なら、誰でもいいよ」
「アンタ、それは男に夢みすぎだって」
秋穂はメロンパンを片手に言った。
「まず見た目は重要だよ。絶対」
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