2,片倉愛子

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昼休みになり、秋穂が隣の席にきた。その手にはビニル袋に入ったメロンパンが一つだけ。 それだけでお腹は空かないのだろうか。 「まーたサボったって」 「和弘が?」 分かっていながら聞き返す。 「そ、アンタん家のダンナさんが」 「だから違うってば。誰があんな勝手なやつ」 秋穂はニヤニヤ笑いながら言った。 その意地悪い表情が小憎らしい。 「へえ、じゃあどんな男が好きなの」 「そんなの、言うわけないじゃん」 ちょっとした意趣返しに反撃してみる。 「ほらほら、お姉さんに話してみなさい」 全然効いてないみたいだけど。 「いやー、私に姉はいないっす」 「言わないと、楠木とのことについてあることないこと言いふらすぞ」 凄く迷惑な嫌がらせを思いつくな。 「サイテー」 と言いながらも渋々答える。変な噂をたてられたら困るし。 「誠実でー、私のことが好きな人なら、誰でもいいよ」 「アンタ、それは男に夢みすぎだって」 秋穂はメロンパンを片手に言った。 「まず見た目は重要だよ。絶対」
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