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「楠木、また授業出てないみたいだよー」
秋穂の言葉に、私は読んでいた参考書を閉じた。
「もう、なんであいつはああなんだろ」
思わずため息がもれる。
楠木和弘、何かと問題児な私の友達だ。
いつもぼーっとしてて何を考えているのかが分からないやつで、よく授業をサボり屋上で眠っていたり、仲のいい男子たちとだべったりで、美術の時間だけは勤勉な男。
和弘がサボったという話は、何故か教室が三つほど離れている私のクラスまで届く。
あれはそれほどの人気者なのだろうか。
少しだけ考えてすぐにその考えを取り消す。
それはないか。
和弘、あんなだし。
「駄目なダンナを持つと苦労しますねぇ」
茶化すように言う秋穂。私はすぐに否定する。
「ないない。だって和弘、あんなだもん」
「あんなって、それはちょっと楠木可哀そうじゃない?」
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