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「後輩に舐められても気にしないやつだよ。これくらいどうも思わないって」
秋穂は可笑しそうに笑った。
「ああー、確かに。愛子が怒鳴ってるのを『へえー』って聞いてる楠木の図が頭に浮かんだ」
秋穂の言い方に多少カチンとしながら、それでも心のなかでは肯定していた。
なんて言っても、あれには伝わらないんだろうなー。
座右の銘は多分、暖簾かぬかだ。
「和弘、きちんと将来のこととか考えてるのかな」
「有り得ないでしょ。楠木だよ?」
秋穂の即答に私も頷く。
「だよねー」
あれの将来には何も見えない。何になるのかも、どうやって生きていくのかも。
周りは心配しているのに、本人は全く気にしてなくて、自分のことに対するそのうわの空加減が、また周りを心配にさせて。
実際、よく堂島くんがあれに怒鳴っているのを見る気がする。
いつもは冷静っていうか、どこかクールな彼が和弘を相手にすると声を荒げる。
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