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「どうしたんだよ、コイツ」
幼なじみ兼彼氏の清水 咲都に問われて、雑誌から顔を上げる。
咲都の指差す先には、帰り道で拾った黒猫。あ、ぷるぷる震えてる。寒いのかなー?
とりあえず、
「おいで」
そっと呼び掛けて、手を差し延べれば、ゆっくりだが確実に近寄ってくる黒猫。……賢いね?
「ニャー」
か細い声で鳴く黒猫。やっぱり寒かったのかな?――そう思いつつ、抱き上げる。どうやら懐いてくれたようで、抵抗せずに、逆に擦り寄ってくる。
「ふふっ……」
そんな様子が愛らしくて、優しく抱きしめて、背中に頬擦りする――と、それまで黙っていた咲都が、不満そうに抱き着いてきた。
「サク…、猫さんが潰れる」
「……む…。……じゃあ、いい」
なにが?、そう問おうとした俺の服の中に、咲都の手が侵入してきた。
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