2章2節 欺キノ日

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 ……でも、なんとなく、少女の、全てを見通してきたかのような真っ直ぐで透き通った眼差しに、オレにでも完璧な嘘なんてつけないような気がした。  だから、オレは改めて、ちらりとだけ、少女のキレイな緋色の瞳を覗き込む。  そして、今から死ぬ自分の目にしっかりと、その可憐な少女の姿を焼き付けてから、小さな深呼吸の後にこう言った。 「――……オレは、自殺しようと思ってたんだ……」  一瞬だけだけど、オレは、少女の緋色の目を見て言った。  ――だから、オレのこの言葉に“嘘”はなかった――       ――A day into the skyhigh――
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