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いつからだったかも覚えていない程幼い頃から私はこの狭く暗い部屋で生きてきた。
母様に手を引かれどこへ行くのと尋ねてもただ下を向いて何も答えてはもらえなかった事と部屋へと押し込まれゆっくりと閉じていくその扉の向こうに見た母様の表情は何故か今でも鮮明に覚えている。
あの扉が閉まる瞬間に子供ながらにあぁ、私は捨てられたのだと確信をした。
ただあまりに急だった事や子供だった私はパニックになりとにかくこの真っ暗な空間から出たくて、扉を何度も泣きながら叩き続けた。
それにも疲れて扉の前で眠ってしまっていると、扉がゆっくりと開き暗かった部屋に月明かりが差し込んできた。
「かあさま……!」
母様が迎えに来てくれた!
そう思って咄嗟にそう発して扉の前に居た女の人に抱きついた。
しかし、抱きついた女性は母様とは違う全く見た事もない女の人だった。
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