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「どこかケガは無いかい?」
私は知らない男の人に介抱されていた。
男性にしては綺麗すぎるその顔が、私を覗き込んでいた。
「え!?あっ……すいません!」
私は慌てて身体を起こした。
「あっ、そんなに急に起き上がって大丈夫かい?」
「だっ大丈夫です!!」
(ひやぁぁぁぁ!!この綺麗な人、誰!?ここ、どこなの!?)
あたりを見渡すと、この部屋は和室だった。
畳の匂いや抹茶、甘い香りが鼻をくすぐり、古風な雰囲気が漂っていた。
襖を締め切っているのでこの男の人と二人きりだけれど、遠くから何人かの女性の話す声が聞こえていた。
「どうかしたのかい?」
「えっ?あっあの……ここはどこなんですか?」
「ここは京だよ。君は知らないのかい?」
「京!?」
(京って、京都のことだよね?なんでそんな所に…)
「君はどこから来たんだい?珍みょ…いや、失礼。見慣れない服装をしているようだね。それは異国の服なのかい?」
「へ?」
自分の姿をよく見ると、制服のままだった。
男の人の姿は……和服(いわゆる、着物)と言うもので……。
(……ん?ちょっと待って!?)
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