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開けられたままの袋の中を遠くから覗くと、中には書物でいっぱいのようだった。
(あの書物は一体……?まさか…何かの報告書ではないだろか…!?
やはり…この娘といるのには危険すぎる…!!)
だが、その“けいたいでんわ”と呼ばれる板を見つめたまま、彼女は真っ青になっていた。
「どうかしたのかい?」
「夢…なのかな?」
「え?」
「私、昨日…夜更かししちゃったから、二度寝しちゃってるのかな?」
さっきまでの様子とは違い、何やら焦っている様子だった。
「どうしたんだい?」
「そうよ!今江戸時代にいるのはきっと夢よ!!」
「しっかりするんだ!!」
ダンッ
間違いなく彼女は混乱していた。
その理由は……私にもわからない…。
「いたっ…!!」
「あっ……すまない。君が混乱していたようだったから……」
「………………」
(思わずこんなことをしてしまったが……。今の彼女はどうやら様子が変だ。気を取り乱している…)
「ここは君の夢の中じゃないんだよ。ちゃんと、文久四年の水無月の五日なんだ。」
「……え?」
間違いはない。
今日は大切な会合がある日。
しかし今日の日付を聞いた彼女は、動かなくなってしまった。
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