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「あ、あの……二人とも……」
「櫻ちゃん、こんな時にごめんね?あまりにも不真面目な土方さんを正さなきゃいけないの!」
「何が不真面目だ。俺は真面目に取り組んでいるだろう」
二人に悪気が無いのはわかる。
わかるけれど……
「二人ともいい加減にしてください!この話は朝餉が終わってからでいいですから!!静かにしてください!」
「櫻ちゃん!」
「櫻……」
「はい……ごめんなさい」
「おう……すまん」
鶴の一声とでも言うように、私の声で言い合いを辞める二人。
その二人を見て、やっぱり私は笑ってしまう。
この二人に元気を与えてもらっているよな気がした。
静かな朝餉の時間が続き、食べ終わった私達は早速作戦の確認を始める。
桂さんを助け隊。
梢ちゃんが無理やりにでも推してこうなった名前。
そんな助け隊の作戦は、とても簡易的なものだった。
「いい?もう一度初めから確認するよ?」
「うん。私は小五郎さんに叫べばいいんだよね?」
「そして、幕臣達が俺達の所へ来たら俺が峰打ちを入れる……と」
「私は逃げ道を作っているね」
「大体片が着いたら、小五郎さんと一緒に走ればいいのね?」
「そう!これでこの作戦は上手く行くはずだよね」
「もう少し凝った方が良いんじゃねえか?」
「あまり凝ったものをしても、やることが難しくなるだけでしょ?簡単の方が実行しやすいの!」
作戦の確認をし終えた私達は、続いて準備に取り掛かった。
宿から出て、処刑場の確認や逃げ道の場所確保。
土方さんは顔が見られたら危ないので狐のお面を購入していた。
「櫻ちゃんは走りやすいような服を持ってるって言ってたけど……」
「うん。今はまだ珍しいものなんだけれどね」
「見せて見せて!」
「これなんだけど……」
走りやすいもの、着物を捲り上げれば良いのだが、はしたないと怒られるのが見えていた。
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