FAKE IT

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今のっちはソファーに座って テレビを見てる。 よし、思いきって距離を詰めないと。 私はのっちの隣に座った。 「今あ~ちゃん来たら、 いい匂いがした。」 「そう?洗剤かな?」 「その匂い好き。」 のっちはテレビのリモコンを いじりながら さらっと言ったけど、 私はドキドキが止まらないわけで・・・。 タイミング見計らって、 この流れで言わなくちゃ。 でも、 世界で一番好きだ的な、 あなたしかいらないのよ的な、 あなたのために生きるわ的な、 ことなんか、やっぱり私には言えない。 だから、 「帰るねのっち。」 と言い、私は立ち上がった。 うん、バイバイ。 って、返してくれると思ってた。 でも今日は、 「え?帰っちゃうの?」 私の手を掴みながら言った。 そして、 「今日はいつもより 長くいてくれてるでしょ? 今日は泊まってってよ。」 のっちの握る力が強くなって、 私も強く握り返した。 end
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