海と水着と海産物

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「そろそろ中盤、エントリーナンバーファイブ! サンク・ルフェーヴル! コンテストだと言うのに、鍛え抜かれた体を見せてはくれないのか?」  司会の言うとおり、サンクは全身の殆どを覆う水着を着用していた。また、水着が小さいのか、太っている訳では無いのにその生地は彼の肌にぴったりと張り付いている。 「さて、六番目のエントリーはシルヴァン・ミュラトール! 近くで海鮮料理を振る舞っているせいか、肉付きが良いが大丈夫か?」  その紹介に、シルヴァンは苦笑しながらステージに上がった。彼は、司会が言ったように、ステージに居る他の出場者より肉付きが良い。 「そして、お次はエントリーナンバーセブン! セスト・ベニーニョ! 小粒でもぴりりと辛いはず!」  この時、他の参加者より頭一つ分は背の低い男が現れ、どこか悲しそうに苦笑した。彼は、体格もさほど良くなく、縦じまの水着は膝下迄を覆っている。 「えー、お次はエントリーナンバーエイト、ヨーゼフ・クラウゼヴィッツ! 洋服店を経営しているせいか、珍しい衣装で登場だ!」  その出場者を見た瞬間、観客からは笑い声が漏れ出した。それと言うのも、彼が身に付けていたのは長い一枚の布で、それを器用に使って隠すべき場所を隠している。  とは言え、その前部はひらひらと風に靡いて不安定で、後方はかなり無防備な状態にあった。 「お次は九番目、ノーマン・ベーレント! 幾つもの命を救ったライフガードだッ!」  司会の紹介と共に、ステージ上の誰よりも背が高く、こんがりと日に焼けた男が姿を現す。彼は、その肌色とは対照的な白い水着を着ており、泳ぎやすさを考慮してか、その生地は少なめだった。
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