狂廻録

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「連れに手を挙げてまで何処かに行こうとする奴を見逃すことは出来ない。貴様なら尚更だ。」  現在僕は門の前、彼は玄関の前  ポジション的にはこちらが好き勝手出来そうだけど流石ここの執事と言った所か。一見棒立ちの様に捉えられるけど僕が何かアクションを起こせば確実に反応してくるだろう  ……何をしてくるかはわからないけど 「最後ちょっと理解し難いんだけど……」  おまけにこちらはマリアを担いでいる。事故とはいえベルを襲った彼だけどそこまで下劣な男ではない事くらい知ってる。だから彼女を任せる事は出来るけど、ダシにする事は出来ない。……つまり、彼を説得する以外に事を荒げないで済ます方法が無いのだ 「聞かせろ。何故こんな事を……」  そんな思考を巡らせている最中、彼――フォン・シュヴァイツァーは逃さんとばかりに血の色によく似た紅い瞳で僕を射抜く。しかしまぁ理由とは……察しがついてるだろうに 「これ以上アレの好きにはさせない。それだけだよ。」 「では何故一人で行く。」 「誰も巻き込みたくないから。」 「此処の殆どを吹き飛ばした奴が言える台詞か?」 「言える。むしろ巻き込ませてしまった事を後悔してる程さ。」 「いや違うな。」 「何?」  違わない。そんな事は無い。僕はこれ以上誰も傷つけさせたくないのは確かだ。だから僕が一人で行く。間違ってなんかいない 「“貴様が”誰かを傷付けるのを恐れているんだ。あの時のようにな。」 「っ……」 「自覚があるんだろう? 貴様は人の姿をした獣。破壊を快楽とした化け物だ。違うか。」 「…………。」  否定は、しない 「……そうなんだな。」  いや、出来ない .
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