狂廻録

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「こんな力、僕は望んでいなかった。」  門の柱に気絶しているマリアをもたれ掛かからせ、優闇は弱々しく呟いた 「何……?」  力がいらなかった? 「僕は普通に生きたかった。それだけなのに――」 「おい。」  何が普通だ。何がそれだけだ 「力を望まなかっただと…?力がいらなかっただと!?」  気が付けば俺は奴の胸ぐらを掴んでいた 「貴様に力を欲した者の気持ちがわかるか?力があれば救えた命があったにも関わらず、何も出来ずただ踏み躙られ、奪われ、涙を流す者の気持ちが!」 「わからないよ……。わかる訳ないじゃないか。」 「貴様……ッ!!」 「だから、これからわかろうとしてるんじゃないか。」 「何…?」 .
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