狂廻録

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 幻想郷中空。下手に力を使って捜索した場合逆に僕の位置がばれてしまいそうな気がするから僕は目視でだいたいを見渡せる位置にいる  ……見つかったら狙撃されそうだけど 「ふぅ……」  もしアレが拠点を築くとしたら何処にするだろう  奇襲のしやすさを考えると“闇”と同様に天界か、それとも隠密性を考えて旧地獄か……いや、気配こそしないがアレに奇襲する気は無いし隠れる気も無いだろう。そもそも場所なんて問わない気が――  訂正、問わないなんてモノじゃなかった 「妖怪の山が……」  遠目からでもわかる程に、以前訪れた時の紅葉の景色が紅結晶に埋め尽くされたモノへと変わり果てた姿があった  あれだけ目立つ場所に拠点を構えるか。探す手間が省けるとかそんな解釈じゃなく、もはや雑とか手抜きにすら感じられる。余裕があるとでも言うのだろうか。それとも“早々に見つけてほしかったのか”……どちらにせよ、そこに行く他に道は無さそうだ  ――だが 「ッ……結界…?」  全身に伝わる痛みに押し戻される感覚  麓から侵入しようと近付いた瞬間、効果範囲に踏み行った為か僕の進行を妨げる何かがそこにはあった  まだ1キロとて近付いていない距離で、だ  それに、だんだん広がってきている? 「面倒な事を……。」  地形や他の生物に影響が無い辺りどうやら自分だけに反応して拒絶するらしい。なんと都合のいいモノか  ……誘っているんだろうな  僕に“矛”を使えと .
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