第一章 同志というわけか

2/9
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/78ページ
『避難警告!避難警告!校内の生徒は直ちに指定された避難区域に避難してください!・・・繰り返します!避難警告!避難警告!校内の生徒は・・・』 機械による避難警報の音声が教室、廊下、校内のいたる所に設置されたスピーカーから発せられている。 丁度ホームルームが終わったころだったため各教室には教師は居らず、残された生徒たちは一年生の時に避難訓練で教わった各避難区域にそれぞれ避難を開始しているところだった。 「おいおいおいマジかよ!この学院で事件が起きるとかありえねーだろっ」 「敷地内に武装集団が入り込んだってよ!グズグズしてらんねーっ!早く逃げろっ」 「ったく、何でこんな緊急事態だってのに教師たちは出てこねーんだよ!」 廊下を走り回る生徒たちは思い思いの言葉を叫んでいる。 まったく、 「だらしないわね、一年生の頃から何を学習してきたのかしら」 クラスの皆が慌てて教室から出て行く中、私はひとり、窓から煙の上がる敷地内の校庭に目をやっていた。 いや、教室に残っているのは私だけじゃなかったみたい。 「あなたは避難しなくていいのかしら?」 私は、いつの間にか少し離れた位置で私と同じく窓の外を見ている男子生徒に話しかけてみた。 「似てるんだ、この状況・・・」 クセの強い灰色の髪、縁のない眼鏡をかけたそいつは私の方を振り返ることなく呟いた。 「何を言って・・・」 「この間観た『スクール・ウォーズ』にさっ!!」 私の言葉を思いきり切って自分の言葉を挟んだ。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!