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多くの生徒が整列し、壇上に居る理事長、ティアを見つめる。 ティアは身長をカバーする台に登り、マイクの高さを直して生徒に目を向けた。 そして桃色の柔らかそうな唇が開かれる。 「今日、皆に集まってもらった理由なんだがな、政府から要請があってな。 魔道具【永久ぜんまい】の回収、もしくは破壊が今回の任務だ。」 えいきゅうぜんまい。 私は顔が強ばった。 永久ぜんまいは、初めて聞く。 けれど「ぜんまい」と聞くと激しく同様してしまう自分が嫌だ。 「――あと一人だけ死者に紛れ少女らしき者が居たという。 もし発見したら保護してやってくれ」 「…少女…。」 永久ぜんまい、死者、生きてる少女。 私の中で先日の声が再生される―。 悲鳴に近い嗚咽と嘆き―。 もしかしたらあの声の主はその少女だろうか? 永久機関の研究をしていたなら科学力のある都市だったに違いない、あんまり深く考えたらテンションが下がってしまうが、都市の何処かに電気信号を送る何かがあって、私に届いたのかもしれない。
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