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乙女が通う貸金業者は、日本でも有名な会社であった。
その名もマドレーヌ。社長の倉敷霞は、良心的な金貸しで、返せない顧客に金は貸さないというの徹底している。霞には倉敷美野里という中学生の娘がおり、その執事に田中蒜という人物が付いている。蒜と乙女はなにかと面識があり、昨晩言っていた分野と繋がるひとりであった。
乙女はその日、業務を手早く終わらせた後、美野里の友人飛鳥に会いに下総駅に直行した。
飛鳥であれば美野里に連絡ができる。蒜は携帯を持たないのでそれが秘密の連絡口だった。霞はあまり良い顔をしない。それでも乙女の評価は高いので今のところ黙視していてくれる。乙女も事件など扱いたくはなかったが、取り立てを仕事としている手前なにかとトラブルに巻き込まれてしまうことが多かった。大体、ソラに金を貸すことができたのもユーリが保証人だからに過ぎない。そうでなければ、マドレーヌでは絶対に貸すことはなかった。
下総駅に飛鳥が居た。私立に通う十五歳の少女で父親は自衛隊、母親はパン屋をしている。元気で明るい子であった。
「乙女さん! こっちです!」
「飛鳥さん。こんにちわ。それと蒜さんに連絡は取れましたか?」
スピカは走り寄り尋ねた。
「ミックちゃんとこれから遊びに行きます。ここで待ち合わせたのでそろそろ来ると思いますよ」
事情を知らない飛鳥は、美野里を愛称で呼んで楽しそうに言う。
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