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「はい。面倒だと言って今日もまた」
「スピカ様も殴れば良いんですわ」
「そうは行きませんよ。取り立てるほうが悪者になってしまいます」
乙女は、メニューを見てウェイトレスを呼んで注文を済ませた。
「でも、ソラさんが言っているのでしょう。殴れば返す、と」
「まず、彼の拳を避けるところからしないと無理だと思います」
「前途多難ですわ」
花梨は先に注文していたパフェを食べる。
「花梨さんは、ユーリさんと仲良くやれていますか?」
注文の品を待ちながら、スピカは聞いた。
「ええ。主のユーリは教授をお辞めになってから博士として論文を書いていますの。先日は大変でしたわ」
「なにかあったのですか?」
「居候のネリーがカジノで大儲けしましたの。そうしたら、お金は増やさないでくれって。一日中ぼやいていましたわ」
「それは、博士らしいですね」
「親御さんが残したお金が遣いきれない。どうしよう。それが博士の口癖ですの」
花梨は、パフェのチェリーを口に含んだ。
ウェイトレスが、料理を机に並べて去る。魚料理をナイフで切り分けてスピカは笑った。
「博士は死ぬまで働かなくて良いと思います」
それからレストランを出た乙女は花梨をユーリが住む屋敷へ送る。
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