memory1

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「はい。面倒だと言って今日もまた」 「スピカ様も殴れば良いんですわ」 「そうは行きませんよ。取り立てるほうが悪者になってしまいます」  乙女は、メニューを見てウェイトレスを呼んで注文を済ませた。 「でも、ソラさんが言っているのでしょう。殴れば返す、と」 「まず、彼の拳を避けるところからしないと無理だと思います」 「前途多難ですわ」  花梨は先に注文していたパフェを食べる。 「花梨さんは、ユーリさんと仲良くやれていますか?」  注文の品を待ちながら、スピカは聞いた。 「ええ。主のユーリは教授をお辞めになってから博士として論文を書いていますの。先日は大変でしたわ」 「なにかあったのですか?」 「居候のネリーがカジノで大儲けしましたの。そうしたら、お金は増やさないでくれって。一日中ぼやいていましたわ」 「それは、博士らしいですね」 「親御さんが残したお金が遣いきれない。どうしよう。それが博士の口癖ですの」  花梨は、パフェのチェリーを口に含んだ。  ウェイトレスが、料理を机に並べて去る。魚料理をナイフで切り分けてスピカは笑った。 「博士は死ぬまで働かなくて良いと思います」  それからレストランを出た乙女は花梨をユーリが住む屋敷へ送る。
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