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不意に襖が少し開いた。
「ウメ、入っておいで。三助が久しぶりにお前を見たいって。」
菊弥が優しく笑って顔を出した。
梅若は三助の事が少し苦手であったが呼ばれたのだから顔を出すしかない。
「よぉ、梅坊。相変わらず小さいなぁ。」
前髪を下ろしたまま長い髪も結わずにしている男が少年の頭を撫でる。
子供扱いされるのが気に食わない。
「血生臭い手で触らないでくれよ。」
「こら。ウメ。そんな事言うな。」
菊弥は梅若を軽く小突いた。梅若は余計に気に食わない。
「まぁまぁ、菊弥。血生臭いのは確かだからな。でもなぁ梅坊、これも日本の為なんだぜ。」
「またその話しかい。三助。」
菊弥が呆れた様子でありながら微笑する。
「大事な話しだよ。いいか梅坊、俺が手を血で染めるのはな、日本の夜明けを邪魔する佐幕派を減らす為なんだ。もっと日本は視野を広げねばならない。」
「さばくって。」
「ウメ、もっと大きくなれば分かる事さ。」
この話しは終わりと言わんばかりに女の姿した男は手を叩いた。
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