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今日は確か新入りが挨拶に来るんだったな…そう思いながら、ティアは少しだけ足を速める。
初等罪人科5年生に新しく転入してくるという生徒のプロフィールは、一週間ほど前にもうすでに確認していたが、その項目のほとんどすべてが空白という異様さはまだ記憶に新しい。
ティア(…どんな奴なのだろう)
そんなことを考えながら歩いていると、向かって前方右の学内マップの前で首をかしげている少年らしき陰に目が留まる。
正確には長いコートをまとっているせいで体系が分からず、ボーイッシュな少女の可能性も十分にあるが…
ティア(迷子か?いや、そもそもあんな奴この学園に…)
ティアはある一つの確信を胸にその少年に声をかけた。
ティア「おいお前、迷子かそれとも…」
くるりとその人影が振り返る。そして、氷のような水色の瞳と目が合った。
???「あ…うん。おれ今日からこの学園に通うことになってるんだけど、まずは理事長代理の人にあいさつに行かなきゃって。でもこの学園…広すぎだよぅ……」
そう言って少年は困ったように笑った。その品定めするような瞳をティアから離さないまま…。
ティア「ふむ、なるほどな。じゃあお前がギロか…話は聞いている。俺はティア・シューマリーゴールド。理事長代理と高等強襲科三年をしている。まぁ立ち話もなんだ…詳しい話は理事長室で…」
ギロ「………?」
ティア「ん?なんだ?」
ギロ「君…面白いね!!」
ティア「…はぁ?」
ギロ「でもだ~め!おれちゃんと知ってるもん。理事長代理さんて高等科でしょ?」
ティア「あぁ、だからそういt…」
ギロ「きみどっからどう見ても初等科だよ!!」
ティア「………。…………。………ほう。噂にたがわぬ問題児と見たぞ。ふふ…ふふふ……いいか?よく聞け。…俺は18だ!!!!!!!!!」
後日談。ティアのギロへの初対面の感想は、『くそ餓鬼』の一言に尽きたそうだ。
完。
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