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悪魔学、グリモア学と居眠りを繰り返し
次は悪魔薬学。
講師は奥村雪男。燐の双子の弟で
歴代最年少で祓魔師の資格を得た
対・悪魔薬学の天才だ。
正十字学園高等部1年生であると同時に
祓魔塾の講師も務めている。
短い黒髪に眼鏡をかけた、知的な瞳が
印象的な少年である。
――ガチャ
扉が開くと、中にいた訓練生がいっせいに
入り口を見る。
雪男の後ろに見知らぬ少女の姿を見とめて、
にわかにざわついた。
雪男は教壇に立ち、少女を促すように
して招く。
「授業を始める前に、皆さんに紹介します。
新しい塾生の天音ララさんです」
それに少女が顔を上げると、比類なき
美貌が明らかになった。
肌はうっすらとピンク色がかった白磁で
漆を溶かしたような艶やかな黒髪は
腰下まであり、彼女が動くたびに
サラサラと揺れる。
青く澄んだ瞳は宝石のようだ。
身体は華奢で、
シックな黒を貴重としたワンピースからすらっと
長い足がのぞいている。
ララの容姿は人を見惚れさせるのに
充分だった。
その場にいる全員、熱にうかされたかの
ように呆然とララに見入っている。
注がれる多くの視線に少し頬を染めながら
ララが花が咲いたように笑って。
「はじめまして。私は天音ララ。
本日この学園に入学いたしました。
つい最近までウ゛ァチカンにいて
悪魔祓いは多少かじっております。
どうぞお見知りおきくださいませ」
優雅な所作で正式な礼(カーテンシー)をすると
さらに全員が魅入られる。
また 頬杖をつきながら別の少年がほぅ…と
ため息をこぼした。
彼の名は志摩廉造。ピンクめいた茶髪に
タレ目の少年である。
飄々とした性格で、女の子を愛して
やまない。
「これまたえっらい美人さんや~
笑顔もかいらしな~」
ちなみに燐はというと、そんな志摩の声は
耳にも入らずポカーンと口を開けていた。
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