翡翠の君

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雪男の号令で席に着いたララは視線を感じ 顔を向ける。 するとしえみと目があった。 「あ え、その…っ」 「? どうかなさいました?」 不思議そうに首を傾げながらも微笑む ララに対し、まともに目があってしまった しえみは慌てる。 二の句が次げないでいるしえみにララは そっと手を差し出した。 「ララです。よろしくお願いしますね」 「わ…私 杜山しえみ こ、こちらこそよろしく!」 「ふふ そんなに緊張なさらないで?しえみ」 「!!」 ララが自然に名前を呼んだ途端、しえみが ぱあぁっと顔を輝かせる。 「? しえみ?」 「あ ううん…!なんでもないよ、ララ あのね、一つ聞いてもいい?」 「ええ もちろん」 「ララはなんで敬語で話すの?」 「「……っ」」 しえみの何気ない問いかけに燐と雪男が わずかに反応した。 そしてどこか複雑な面持ちで ララの様子を伺う。 「そうですね… 癖みたいなものでしょうか」 「癖?」 「昔からどうにも抜けないのです」 「そうなんだ」 「はい ですからお気に障るようでしたら どうかご容赦くださいませ。 できるだけ努力は致しますので…」 「ううん! 全然気にしてないよっ なんかお姫様みたいで素敵だなぁって 思ってたくらいだから!!」 「まあ それでは本物のお姫様に失礼に なってしまいます」 興奮しながら力説するしえみにおかしそうに 楽しそうに笑うララ。 どうやら2人の心配は杞憂に 終わったようだ。 と、ララがおもむろに2人を見た。 「「!!」」 そして、ふわりと微笑む。 言葉こそなかったが、″心配しないで″ と、そう言っているようだった。  
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