荊は深く絡みつき

15/18
前へ
/38ページ
次へ
「な …なにこれ……」 呆然と炎を見つめる。青白い、否 白銀の それがゆらゆらと揺れていた。 院長を突き飛ばし、悪魔がゆっくりと ララに近づく。 くつくつと不気味な嗤い声を響かせながら。 「…やはり私の目に狂いはなかった…!     ・・・ その炎はあの時与えられた 正真正銘 ″魔神の炎″……!! しかも青から白銀へと変化させている。 全てを吸収し無効化するその力!! ああ…この時をどれ程待ったことか…!」 「!?」 「ずっと… ずっと姫君を 探しておりました…! さあ 参りましょう…! 主様(サタンさま)がお待ちです!!」 先程までとは態度を変えてかしづくと うやうやしくララへと手をさしのべる。 ララは混乱しながらも悪魔が主と呼ぶ その名を口にした。 「サタ…ン…?」 わからない。 わからないけど、きっとそれは ″悪いもの″ ララが一歩後ずさった、その時だった。 ――バリイイィン…!! 「…その心には悪がある」 「!!」 「主よ その行いによって その悪行によって報い その手の行為によって支払い 彼らに報復したまえ」 窓が割れ、見れば詠唱しながらゆっくりと 歩いてくる影がある。獅郎だ。 コツコツと靴音を響かせて悪魔との距離 を確実に縮めていく。 「キッ キサマ…!?」 「彼らを打ち滅ぼし二度と 立ち上がらせたもうな」 詠唱が進むにつれ、悪魔の形相が 変わる。 その顔に浮かぶのは、焦りと畏れ。 「エ 祓魔師(エクソシスト)か ぁアああ!!!!」 「主は祝されよ!」 獅郎の口元に浮かぶのは、不敵な笑み。 「その口 引きちぎるぞ クソ神父がァあ゛あッ」 「私の願いは聞き入れられた」 向かってくる悪魔を簡単にいなしていく。 ギュル…ドンッ 「ギャッ」 「主は私の助け 私の盾である! 汝 途に滅びん!!」 ――キュボッ 「ギャアアァアアア」 最後に十字を切ると悪魔は断末魔を 上げ、どさりと崩れ落ちた。  
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加