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「……落ち付いたか」
獅郎が気を失った悪魔…否、小田を
見て一息つく。
そこへララが勢いよく抱き着いた。
「しろうっ!」
「おっと」
獅郎もそんなララを力強く抱きしめ返す。
「待たせてごめんな」
「ううん …しろう、おだせんせいは…」
「大丈夫だ 俺が悪魔を祓った
…少し長く憑かれていたようだが
あまり強い奴じゃなかったな」
それからララは悪魔と″物質界″(アッシャー)
″虚無界″(ゲヘナ)について説明を受けた。
そのどれもが今までいた世界とは
かけ離れていて現実味がなかったが、
先程、目の前で起きたことがそれが
現実だと物語っていた。
「お前は大丈夫か?」
「うん へいき… !!いんちょうせんせい!!」
ララは頷きかけ、はっとすると院長の姿を
探す。
悪魔に飛ばされてしまった院長は
床にぐったりと横たわり、全く動かない。
走り出したララを獅郎が止めた。
「っ――…はなして!!」
「待てララ! 気を失っているだけだ。
修道院(うち)の奴らがちゃんと面倒みる。
それよりお前が優先だ」
「でもくるしそうだよ!せんせいのとこに
いかせて!!」
「ララ!!!」
腕の中で暴れるララに厳しい声で
その名を呼ぶ。
今まで聞いたことのないそれにララは
びくりと肩を揺らした。
「今のでお前の覚醒は知れ渡った
…あらゆる者があらゆる目的で
お前を欲し、狙うだろう
・・・・・・
その前に隠れなければ…!」
「いや!! わかんないよ…わたしは…
わたしはなんなの…!?」
そのまま連れていこうとする獅郎に
ララは叫ぶように問いかける。
すると獅郎は動きを止めて重々しく
口を開いた。
「お前は……
創られた子供だ」
「え…?」
「人が悪魔に抗うために創った…
…しかもそれだけじゃない
魔神の炎(ちから)をその身に宿した
神の生まれ変わりだ」
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