祟り寺の仔

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ララが燐と雪男に抱きついたーーーー …はずだった。 ところがララは手を伸ばした体勢のまま、 燐と雪男も反射的に受けとめようと腕を 広げたまま止まっている。 すると突然、今までいなかった第三者の声が 響いた。 「抱きつくのはやめろと言っているだろう」 その声の主ーーーそれは息を呑むような 美青年だった。 年は20歳くらいらだろうか。 すらりと背が高く、肌は白磁で、サラサラと 流れる珍しい白銀の髪と髪から覗く紅の 隻眼が目を引く。 すっと通った鼻筋 形の良い薄い唇。 同じ男である燐や雪男から見てもその 美しさは完成されていた。 後ろから包み込むようにして自身を抑える 青年をララが見上げてその名を呼ぶ。 「ルシフェル!」 次いで嬉しそうに抱きついた。 「ルシフェルに会うのなんだかすごく 久しぶりな気がする」 「ああ こっちに来てからはまだ戻って いなかったからな」 青年ーールシフェルもまた嬉しそうに ララを受けとめる。 しばらくそうして抱き合っていた2人は、 気が済んだのかルシフェルがそっとララの 身体を離した。 そしてララと目線を合わせるように屈むと 肩に手を置き、諭すように話出す。 「いいか ララ。嬉しいからと言ってすぐに 抱きつくのはよせ。 お前にその気がなくとも変な気をおこす 人間だっているのだからな」 「えー でも私、燐と雪に ギュッてしたい…」 「最初にしただろう」 「1回しかしてないもん」 「十分だ」 「…おーい」 目の前で繰り広げられるどこかゆるい やりとりに、すっかり蚊帳の外な燐が 耐えきれず声を上げた。 そこでやっと思い出したようにララが 燐と雪男を見る。 「そいつだれ?」 「ていうか 一体どこから…」 雪男が部屋の入り口に目をやる。 確かに扉は閉まっていて、開いた気配は なかった。 「あ そっか。2人は初めましてだよね。 彼はルシフェル。 ーーー私の使い魔なの」 「「は…?!」」 あまりのことに燐と雪男の声が揃う。 「だってそいつ人間じゃん!!」 「使い魔が人の姿をとるなんて聞いたこと ないけど…」 「うーん 普通はびっくりするよね。 えーと ほら、フェレス卿と同じように 考えてもらえればいいかな」 「メフィスト?! お前メフィストに 会ったの?」 「ううん ルシフェルがそうだって 言うから」 「…あんなふざけたピエロと同じ括りに されるのは気に入らんが…仕方ない」
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