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「随分ボロいと言うか、寂れてると言うか…」
と呟くと、横で慧音の苦笑した声が聞こえた。
「まぁ…そう言ってやるな、妖魔。金がなくてどうしようもないんだよ」
それは、
「幻想郷全体の話か?それともこの神社限定での話か?」
「……神社限定だ」
そりゃそうだ。全体で金が無いなら、相場が安くなるなりするだろう。
ならばお賽銭が集まらないのだろうか、と考えながら、鳥居をくぐって行くと、ちょうど奥から巫女服を着た女の子が歩いて来た。
「あら?あんたがここに来るなんて珍しいじゃない、慧音。そこの男は外来人?」
何でこう、俺が知り合う巫女の巫女服は、脇が開いてるんだ?寒く無いのか?冬とか……
「ああ、先程助けて貰ってな。まずここに案内すべきかと思って案内したんだよ」
慧音がそう言うと、巫女の少女は驚くと同時に怪訝そうな顔になった。
「あんたが?こいつに助けられたの?逆じゃなくて?」
「失礼だな、それに、そんなに驚くような事か?」
あの狼、そんなに強くなかったと思うんだが?
「悪かったわね。だけど、大概の外来人は助けて貰う側なのよ。そう思うのは当然でしょ?
……そういえば、まだ名前を言ってなかったわね。私は博麗 霊夢。この神社の巫女で、妖怪退治もやってるわ」
「俺は、魂魄 妖魔。
妖忌爺に育てられて魂魄流を修めただけの、しがない半人半霊だよ。よろしくな、霊夢」
「えぇ、よろしく。
半人半霊、ねぇ……外界にも居るもんなのね、半人半霊」
「霊夢、驚かないのか?白玉楼の先代の庭師に拾われたという事に?」
「だって、紫に聞いた事があるもの」
紫…確か妖忌爺が言ってた、『お嬢様の親友の妖怪』だったか?
幻想郷を作った妖怪で、フルネームは八雲 紫。能力は『境界を操る程度の能力』だとか……
「なるほどな、紫が送った訳か……
おっと、本題に戻ろう。霊夢、妖魔の能力を見てやってくれないか?」
「能力?俺にもあるのか?」
「あぁ、紫が連れてきて、この強さならなら尚更な。
紫が幻想郷に外来人を連れ込む理由は、大体2つだ。
1つ目は、そいつが能力持ちである事。
2つ目は、妖怪の餌として。
まあ、妖忌殿の義理の息子ともなれば、前者であることは確実だろう。半人半霊でもあることだしな」
「で、博麗神社(ウチ)に運良くたどり着いたのは、外に帰してやるってわけ。
取り敢えず、先ずは能力ね。縁側にでも座りなさい?ちゃちゃっと調べちゃうから」
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