能力開花

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「これは、この結界に当たろうとしている物の中から、使った本人──まぁ、俺だな──に害を及ぼす物の『動くであろう道』を分断するって効果なんだよ」 「『動くであろう道の分断』?」 よく分からなかったらしく、二人とも首を傾げている様子を見て、思わず苦笑する。 「つまり…そうだな、俺に向かって石を投げてくれるか?軽くな」 「……?ああ……」 慧音は怪訝そうにそう言って、足元の石を適当に拾い上げ、軽く放り投げる。その石は山なりに俺へと向かって飛び、俺はその石がぶつかる寸前に手で叩き落として言葉を続けた。 「この石は俺が叩き落とさなければ、俺に当たっていただろ? つまり、この石は『俺に当たるであろう道』を通って飛んでいた、とも言える訳だ。 この結界は、結界に当たる直前にその道を分断し、結果的に当たるであろうものを止める事が出来るんだよ」 そう言って、俺は結界を発動させる。 「じゃ、改めてこの結界に石を投げてみてくれ。 何ならスペカでもいい。」 「それじゃあ……行くわよ? 神霊『夢想封印』!」 と、霊夢はさっきも俺に見せたスペカを使う。 ヒュヒュヒュヒュヒュヒュン! と結界に向かって飛ぶ光弾。木に飛ばした時は木をなぎ倒 したが、この結界に飛ばした光弾は――― 「止まった……」 結界に当たる直前で止まっていた。 「これは、どんな威力の攻撃でも耐えられるのか?」 「威力も何も、その攻撃が通るであろう道を途切れさせるからな、威力は関係ないんだよ」 「最強の盾、ね。防御の面で見れば、間違い無く最高の結界だわ」 「まぁ、外からの攻撃に対してはな」 「能力と合わせて、正に最強の盾と矛だな。敵には回したく無いものだ」 「全くよ…」 俺も、端から見ていればそう思うだろうな、確実に…… というか、この能力が『通るであろう道』なんて概念的なものにまで通用するとは思わなかった。
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