ある冬の日

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バックヤードから別の男の子が出てきた。 スラリとしたスタイルに切れ長で涼しげな、でも優しそうな瞳の男の子。 一瞬だけど、本当に時が止まった気がした。 一目惚れってしたことないけど、こういう気持ちがそうなのかな? そんなことを思ってると、由紀子ちゃんもオーダーを済ませ、私の向かいの席についた。 『お待たせ~。ごめんね、ちょっと話込んじゃって。』 『えっ?あぁ、いいよ。』 『ゆみちゃん、どうしたの?ボォ~としてたけど…。 あっ、見た?うちの男の子達。イケメンでしょ?』 『う、うん。そうだね。』 なんだか返答にドキマギしてたら、やっぱり勘づかれた。 『あっ!もしかしてゆみちゃんのタイプがいた?』 軽く聞かれただけなのに、私の心臓はバクバクして、耳まで赤くなりそうだった。 『…えっ!? あっ、タイプとか…そんなんじゃないっちゃけど… まぁ、あのドリンクのとこに立ってる人、カッコいいなって…』 『あぁ、〇〇くんね。かっこいいやろ?クールだけど、優しいし。ゆみちゃん、うちでバイトしたら?』 『え…え~っ!いや、そう意味じゃなくて』 由紀子ちゃんが言ってることは大したことではないのに、めちゃテンパって答えてしまう。 『あっ、私、夜間の専門学校も行こうと思うから、週に3~4日しか働けないし…』 『週3日シフトに入れるなら大丈夫だよ!今、バイト募集もしてるから、私からマネージャーに言ってあげるよ?』 一見、おっとりしたお嬢様の由紀子。でも、今日は頼もしいお姉様に見えた。 『週3くらいでいいなら、お願いしようかな?』 本当は週3でも可能だからという条件なんて、どうでもよかった。ちょっとした照れ隠しだったと思う。 『じゃあ、マネージャーに明日伝えとくね。』 由紀子ちゃんの声をどこか遠くで聞いてた感じで、私はまたあの男の子を目で追っていた。
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