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じりじり、と太陽が照り付けている。
それが余りにも眩しくて、天瀬修一(あまがせしゅういち)は目を開けた。
静謐な車内。
がたん、ごとん、と繰り返すレールと車輪の音。
クロスシートの一席。
どうやら、寝入ってしまっていたらしい。
目を上げると、目を潰さん限りに照りつける太陽と、延々と続く緑の山々が見えた。
見れば、窓枠に寄りかかるような形で船を漕いでしまっていて、あらん限りの直射日光の洗礼を受けてしまったらしい。
窓から身を離して、伸びをする。
時計を見やれば、目的地まではあと十分も無い。いや、十分もある、という形容がむしろ正しいのか。
キンキンに冷えた車内。
外に出たくないなあ、なんて世話もないことを考えつつ、修一は荷物の整理を始めた。
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