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「あら、そう……そんなことよりあんた獣臭いのよ、鼠は鼠らしく大人しくチーズでもかじってなさい!」
大口開けて小娘の頭を噛み砕こうとする彼に娘がはき捨てるように叫ぶ。 それを虚勢と思った彼が笑い捨て、彼はさらに口を大きく広げて彼女の頭にかじりつこうとするその瞬間、
「グハッ!おのれ……」
途端彼の身体から力が抜けて地面に転がる。 まるで毒が回ったかのように彼はビクビクと痙攣するように……でも目だけは爛々と燃えるようにアスファルトの上を転げまわっている。
「月代様……ご無事でございますか?」
少女の前に大柄な坊主頭の中年男が降り立った。 手には数珠を握っており、その数珠と同じものが彼の首に巻きついている。
「さすが、日間さんの縛巻数珠ね」
「いえ、月代様の爆針も見事でした……全針が急所に刺さっている。さすがです」
「いや~それほどでも……」
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