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その車を見送った日間がまだ青い顔で立ち上がれないでいる錬の前に来て見下すように見下ろす。
「まったく……いくら月代様が認めないとはいえ、こんな役立たずの従者をクビにできないとはな」
「俺もいい加減辞めたいんですけどね……」
苦痛で顔を歪ませながら錬も答える。
「ふん…だが月代様は優しいお方だからな、お前が従者をクビになってしまえば里から追い出されると思ってクビに出来ないのかもしれんな」
それだけはき捨てると日間は別の車に乗込んで去っていく。 錬も彼を介抱してくれた仲間達と共に別の車に乗ってその場を後にする。
車は誰も居ない夜の山道を走る。 誰も錬と呼ばれた少年に話かけることもなく、まるでそこに居ないかのように思い思いに話をしていた。 その中で少年は窓の外に見える暗闇に向かいボソっと呟いた。
「里を追い出してくれるんなら願ったりかなったりなんだけど……」
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