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疲れた顔をして返事をする錬に決して納得はしていないようだが、これ以上時期当主から呼ばれているのを引き止めるわけにはいかない。
一息ついてからそっと錬の髪や服装を丁寧に整える。
「仮にも月代様の前に立つのですから、身嗜みくらいは整えて置いてください」
ある程度終わったところでそのままツンとした顔で連から離れていく。 腰まである漆黒の黒髪が白い巫女服に綺麗に映えるその後姿をしばらく見送っていた……。
宗家の屋敷の門前に立つとニヤニヤとした門番が屋敷の門を開けてくれる。
「よお……昨日は大活躍だったそうじゃねえか?」
疲れた顔で少し足を引きずって屋敷内に入る錬の後ろから嫌味が投げつけられた。
それを涼しい顔で受け流し、屋敷内の玄関で履物を脱ぐ。
宗家が住む建物はかなり広く、屋敷の際奥にある謁見の間までたっぷり十分はかかる。
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