参落の最期。

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そういえばこの山に来て三ヶ月……そろそろ新しい巣を見つけて移動する時期だろうか。  いつまでも同じ場所で狩りを続けていると獲物が警戒し始め、やりづらくなる上に自分のような者を追う存在にも気づかれるかもしれない。 そうだ早速明日にでもこの山を降りて別の山に移り住むとしよう……そのためにも今日は記念になるようなすばらしい獲物が食べたいものだな。  身体を揺するとその巨体によって昇っている木が少し揺れた。 かつて彼が同じ種の仲間と同じように山の落ち葉や土の下を駆けずり回り、様々な天敵の存在に脅かされていたときとは違い、すでに身体は小型の熊くらいにまで成長している。   灰色の体毛と蛇のようにチョロリと長く伸びた尻尾、そして発達した前歯だけがかつての彼の姿を思い出させてくれる。   ありふれた小動物でしかなかったはずの彼はすでに本来の寿命の十倍、数十年以上生きているのだ。
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