参落の最期。

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本来ならありえないことではあるが、古今東西何事にも例外はあり、それが彼であった。  そしてここ日本ではそのような者を指す言葉が存在する。  『妖怪変化』  そう、彼はまさしく本来の寿命を超え、すでに別の種、別の存在へと成り代わったのだった。 身体はかつての数十倍、知能も発生し、何より彼が妖怪変化という言葉が似合うのは先ほど彼が言っていた人を食い、それが美味だと感じることだ。   彼は山のどの獣達にも負けない程の力を持っていたが、また慎重でもあった。  かつてまだネズミという種だったころに培ってきた臆病さが妖怪に変化したいまでさえ根底に設置されており、それにより彼は命を落とさずに今なお生存しているのだった。  彼はこの山最後の獲物を、赤い瞳をよおく凝らして探していると、明かりもまだらな山道をとても柔らかそうな肉をした小娘が歩いているのを確認し、狂喜した。
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