参落の最期。

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齢数十年を誇る山鼠の化身である彼は元小動物としての警戒心の強さで決して獲物を逃したことはない。  住む場所とて転々としている彼にとって久方の人間の獲物であるあれも、今までと同様に彼が何者かさえわからないうちに爪で切り裂かれ、強力な前歯で頭を丸かじりされる運命だった……。  彼の昇っている木が大きく揺れる、ゆらゆらと揺れた木の頂点ではネズミの姿をした化け物がしなやかな筋肉を使って勢いをつけていた。 このまま一気に獲物の前までジャンプするつもりなのだ。   そして獲物は突然目の前に現われた自分を見てきっと悲鳴を上げるだろうが、それを一瞬だけ聞いたらすぐに頭ごと丸かじりにしてくれよう。 そして食い残したしゃれこうべに俺の名前を刻み付けてやろう。 獲物の絶望を考えて下卑た快感がわいてくる。 それは何とすばらしい快感なのだろうか……。  ニヤアっと笑ったような表情をした彼は十分に勢いをつけ、筋肉を収縮させて一気に跳ね上がった。
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