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この前足は先程きらきらと光る何かがついた針が刺さっていた場所……。
起き上がろうとした彼の全身に例の針が飛んできて刺さる。 それらは正確に彼の残された前足部、両後足部、背中、そして頭と突き刺さっている。
この数十年感じたことのない感情が湧き出てきた。 かつて自分がただの小動物であったころ隣りあわせで常に一緒にいたもの……死の恐怖…。 それがいま彼の脳内を支配していた。
「思ったとおり、道路の方に出てきてくれたわね」
まるで自分が来ることを知っていたかのように勝ち誇った笑みで先程の小娘が道路へと出てくる。 髪を後ろで結わえて勝気そうな小娘だった。
「よろしいのですか?他の方々が到着する前に姿を見せるべきではないのでは?」
小娘の後ろから同じ年齢くらいの小僧が心配そうに声をかけていた。
こちらは小娘よりもやや背が高く、小娘とは対照的な陰気そうな顔をしていた。
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