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地面に着地した俺に、長身君が話し掛けてきた。
「俺、今から剣道部行くんだけど一緒に行かねー?」
『剣道』の単語に体がビクッと小さく震えた。
俺は、今は剣道ができない。自分の手に視線を落とした。
でも…………見るだけなら…
「行く」
そう返事をしていた。
剣道中毒者な俺。
そいつについて行き、ちょっと歩いて剣道部の練習場所である武道場についた。
竹刀を振る先輩たちを見て、俺はやっぱり剣道が好きだと感じる。
そんな先輩たちに見とれていたとき、一人が練習をやめてこっちに向かって歩いてきた。
「おー1年生?ここの部長の高山です」
竹刀片手に出てきた部長。
「入部希望なんですけど……」
長身君が言った。
あっ……そういえば、まだ名前聞いてないや。
「それじゃぁ2人とも、名前ここに書いといて」
部長に紙とペンを渡された。
「あのっ……俺はまだ入部しないんですけど……」
「まぁ見学だけでも!てか仮入部していけよなっ!」
高山部長が笑いながら言った。
「……はい………」
「ほれ、紙に名前」
隣のやつが書き終わったらしく、俺に回してきた。
少し丸っこい癖字で『高津戸 寛人』と書かれていた。
「高津戸っていうんだ」
「おぅ!よろしくな!」
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