はじまり

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「2人とも経験者か?」 「はい」 そう高津戸が、はっきりと返事をした。 「園城寺は?」 「………経験者です」 少し考えそう答えた。 「じゃぁさっそく竹刀振ってもらうか!ちょっとそこで待ってろよ」 高山部長は、そういって竹刀と防具を取りに部室に入って行った。 「なぁなぁ園城寺どこの中学だったんだ?」 「東嵐山中学」 「ひがし……東嵐山…あぁ!あの全国優勝したやつがいるところか!」 「へぇー………詳しいのな」 「あぁ!一回そいつの試合みたことあるけどすごかったぜ!俺、ファンなんだー」 嬉しそうに話す高津戸をよそに、俺な冷や汗かいていた。 なんだか、そいつが俺だって知られたくなかった。 せめて他人の中の俺は、強いままでいたい。 今では、満足に竹刀も振れない弱者だ。 「お待たせ。2人とも着替えな」 高山部長が戻ってきて、俺達に防具と竹刀を渡した。 いそいそと防具をつけはじめる。 防具の重みを、もう懐かしく感じた。
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