ビター・オレンジ

2/12
前へ
/12ページ
次へ
「ふ………あぁあぅぁー…」 ここのところ「THE EIGHT」の朝は、ジャッキーの大あくびが定番だ。 ホールへの階段を下りてくる危なっかしいその足音を合図に、ガムは鍛錬の動きを止めて調息に入る。 涙の浮かんだ両目をこすりながら無言でフロアを横切り、ソファにダイブしたジャッキーに自然と苦笑いが零れた。 「おっはよぉさん、ジャッキー」 「…よ。」 もそもそ帰ってきたのは、辛うじて最後の一文字だけ。 舌も頭も完全に回ってない、こんなに隙だらけのジャッキーを見るのも久しぶりだ。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

65人が本棚に入れています
本棚に追加