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「えっ?ないわぁ。はっはは」
それはとても素敵とは程遠い笑顔だった。
「えっ!?まてまてまてまて。僕は三年生になったんだよなっ!!!?まだ実感ないけど!!あはっ今の超ウケるわマジで!!!って恵次の真似してどうするんだよぉぉおお!そんな場合ではない!!あっ!分かった見逃したんだな。おーけーおーけー。冷静になれ僕。僕は誰だ。そう永瀬智輝。最高の三年生にしてこの学校の長的存在なのだ。余裕をもて。そうだ余裕もってなんとかだ。深呼吸しろ。スーハ~スーハ~。そうだ。俺の好きな子である晴海ちゃんはどのクラスだろう。あー五組かぁ。もしかして俺も五組かなぁ。あーない。あぁあ残念だなぁ。そうだ恵次は何組だろぉ。おぉ。あいつは二組か。またあいつ二組だわぁ。超ウケるわ。ついでにあいつも。そうだ!二年の時の同じクラスの人全員探そう。そうだそれがいい。だって僕は三年生なのだから!!!あはははは!あははははは!!あはははははは!!!」
こうして僕は30分前登校してくる利点、<どんな困難なことが起きようとも絶対遅刻をしない>を最大限に使い、最大限に時間を無駄使いした。
それから25分間。僕がまさかあそこまでの集中力があるとは思わなかった位の集中力を無駄に使い、二年の時の同じクラスの人全員を探しだした。
蛇足だが、たぶん普通に探したら10分程度で探し出せただろうが、このときの僕はテンパって漢字一文字一文字確認しながら探していたので25分経ってしまった。我ながらアホらしいが…かっこいいぜ!!
「おっと、僕としたことが自分のクラスを確認するのを忘れていたぜハァハァハァ。ちょっくら探すか」
さすがにまた漢字一文字一文字確認しながら探すのは疲れたので、普通に探した。
「………」
無かった。
夢の国で財布無くす程の絶望感だった。
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