手紙

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私は頬に汗が伝うのを感じながら、恐怖でジリジリと後退していた。 『こっこっここの窓から入ったの!?柵の所にスコープがあったのに何で!?な、何よアンタ!!』 『おい、落ち着け。大声を出すな』 『落ち着けるか!!私に何するつもり!?こっ、このストーカー!!私がアンタみたいな変態に惚れるワケないでしょ!?早々に諦めろ!!失せろ!!』 『は?…惚れる?何勘違いしてんだ。お前みたいなガキに興味はない』 『じゃ、じゃあ出ていきなさいよ!!』 『まァ待て』 黒い衣の男はそう言ってため息をつくと、被っているフードに手をかけた。 手を後ろに追いやり、手が掴むフードが必然的に後退していく。 それを見つめながら、クラブを握りしめる私の両手の震えが、一瞬止まった。 フードを取った黒い衣の男の素顔は、この世の者とは思えない、異様。 異様な美しさだった。
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