6人が本棚に入れています
本棚に追加
目を覚ますと、真っ暗な部屋の中で横たわっていた。
目の前に銀に光る何本もの棒が並んでいる。
横たわっていた石床の冷たさに目を細め、起き上がりながら、牢屋に入れられていると悟った。
部屋の真上にある小さい窓(窓といっても四角く空いた穴に鉄柵が取り付けられたもの)。
その窓から射し込む月の光りと、暗い空に、今は夜だということがわかった。
目の前に見える鉄柵を見つめながら、私はその奥にある、この部屋に入る為のドアを見つめた。
『どこ…』
立ち上がり、鉄柵の方に歩み寄っていく。
鉄柵と鉄柵の間は十センチも間隔がなく、肩まで入れるのがやっとだった。
ため息をつき、奥に佇むドアを見つめる。
きっとあの男に拉致られたのだ。
私は人生の終わり、死を覚悟した。
奥に佇むドアを睨むように見つめながら、これからどうしようと口を下げていた私は、ドアの横の壁に何か光るモノがあるのに気づいた。
壁に取り付けられた突起に、ただ掛けられているソレは、先の曲がった、棒状の小さい金具だった。
もちろんそれはこの牢屋を開け閉めすることのできる道具で、死を覚悟したハズの私に希望を持たせた。
“ここから出られる”
最初のコメントを投稿しよう!