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部屋の空気がキンッと変わった。
部屋のカーテンが凍りつき、窓にはヒビが入る。
部屋の中心には二人の男。
1人は漆黒のフード、ローブを身に纏い、
1人は純白のフード、ローブを身に纏っている。
漆黒の男は、部屋の中心に描かれている書きなぐったような文字で作られた円陣の中心に立ち、
純白の男は、漆黒の男が立つ円陣の外に立ち、何かを囁く。
部屋は凍りつき、肺に入れる空気でさえ痛いのに、円陣の中心に立つ漆黒の男の頬には大量の汗が流れている。
漆黒の男は息が荒い。
相当苦しいのだろう、フラフラと体を揺らしては、左右に頭を振り体勢を直す。
漆黒の男がとうとう耐えきれなくなったのか、円陣の外に立つ純白の男の方を向いた。
何かを囁き続ける純白の男に何かを言おうと口を開く。
が、突然部屋中に光りが走り、漆黒の男は開いていた口を閉じた。
部屋中を走った光りは、やがて部屋中を包み込む。
純白の男の囁く声が止んだ。
漆黒の男は部屋中を包み込む光りを見上げ、しばらく見つめると、フードで隠れきれていない口元が上に伸びた。
部屋中を包み込む光りの眩しさがよりいっそう増した。
漆黒の男も、純白の男も、その光りに身を隠していく。
光りがこれ以上ない程に膨れ上がり、
身を隠していた純白の男の姿を再び部屋の中に映し出したとき、
円陣の中に立っていたハズの漆黒の男が姿を消した。
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